住職日記

一人で悩まないで

先日「一人で悩まないで」というタイトルで新聞に自分の思いを綴ったのだが、思いもよらず、その後いろんな人達から電話や手紙、また来寺されて相談を受け、改めて現代人の心の悩みの多さを感じ、また相談する相手の少なさに気づかされました。

 

新聞の内容を紹介すると・・・

紅葉の名所で湖東三山にも数えられる西明寺(甲良町池寺)住職中野英勝さん(四九)は、伝えたい言葉があるという。


「一人で思い悩み『死にたい』と考えている人。寺に来て一緒に話をしませんか」。現代版の゛駆け込み寺゛を目指しているという住職にその思いを聞いた。

「本来、お寺というものは生きている人のためにある場所なんです」。中野さんは言う。「寺の務めは葬儀と法事だけじゃない。宗教は本来、苦難を抱えて生きる人々を励まし、知恵や勇気を与えるためにあるのです」
昨年末、寺の近くで起きた悲劇が中野さんを奮い立たせた。養護学校に通う娘二人と父親が乗用車内で練炭自殺した心中事件。「死を選んでしまう前に、手を差し伸べてあげたかった」と、唇をかみしめる。


遺書には、生活苦や娘の将来を悲観する言葉。父親は妻を亡くし、深い悩みを親族や同僚、近所の人にも打ち明けることなく静かに命を絶った。

「物があふれる半面、人間関係が希薄になった。相談相手を見つけられないことが、頻発する自殺の根幹にあると思う」中野さんは声を大にする。

「苦しいことを素直に『苦しい』と話せる避難所が人には必要。周りに誰も言える人がいなければ、寺に来るという道もある─と伝えたい。何でも話を聞きますから」

寺で救われた命がある。


五年ほど前、五十代の夫妻が訪れた。息子の事業が失敗。借金の返済に困り果て「死のうと思って来た」と苦境を吐露した。中野さんはただ耳を傾けて、うなずいた。一通り話した夫妻は少しすっきりした表情を見せ、その日は帰ったという。半年後、夫妻が再び寺を訪ねた。借金の問題も落ち着き、さわやかな表情になっていた。

 

「孫も生まれた」とほほ笑み、言った。「あの時、死ななくて良かった」

夫を病気で失った六十代の妻。小学生の子どもの行動が理解できず悩む母。心の闇を打ち明け、寺から新しい人生を歩き始めた人たちもいた。その背後には、自殺者が年間三万人を超える日本の現状がある。
中野さんは続けた。「ちょっとした言葉で人は生き返れる。カサカサに乾燥しきった心に潤いが戻り、もう一度前を向いて歩めるようになる。そんな声掛けをし合える関係を大事にしてほしい。寺も、その役目を果たしたい」と。(岩田忠士)「滋賀中日2/12より抜粋」

というものでありました。


もし周りに誰も心の悩みをうちあける人がいないならば、一度お寺に連絡して訪ねてみてはいかがですか?

 

 

合掌

(湖東三山・西明寺住職 中野 英勝)